口臭の治療とは
誰にでも多少の口臭はありますが、口臭がかなり強い場合は、虫歯や歯周病、口呼吸、詰め物・被せ物の不良、舌の汚れ、鼻や喉の疾患、また、内科的疾患が原因であることもあります。
特に、歯周病は口臭の原因の8割を占めると言われています。
口臭は原因が見えにくく、さまざまな原因が絡んでくるので治療が難しいのですが、ほとんどの方は虫歯と歯周病を改善することで口臭が気にならないレベルになると言われています。
また、実際の口臭とは別に、患者さんが自分自身で口臭を感じているなどの主観的な部分が大きく関わっているケースが多いです。
実際には口臭はあまりないのですが、周りの反応から勝手に自分自身で判断してしまうのです。
口臭の種類
口臭にはさまざまな種類があります。口臭の原因は1つではありません。
例えば、口臭には大きく分けて4つのタイプがあります。
- 01生理的口臭
- 生理的口臭とは、起床後やストレス時、空腹時など、誰にでも起こりうる口臭のことです。
これらの臭いは、唾液の減少、口腔内の細菌の繁殖、口臭の原因となる物質(揮発性硫黄化合物)の生成によって引き起こされます。
生理的口臭は、ブラッシングで細菌を減らしたり、食事や水分補給で唾液の量を増やすことで改善されるため、通常は治療の必要はありません。
- 02食事や嗜好品による口臭
- ニンニク、アルコール、タバコなどによる一時的な口臭です。 これも一過性の口臭で、治療の必要はありません。
- 03心理的口臭
- 心理的口臭とは、自分が強い臭いを発していると思い込んでいる状態のことです。
口臭のレベルを客観的に測定していますので、心理的口臭だけの場合はすぐに解決できることもあります。
それでも解決しない場合は、口臭を軽減・抑制するために、口の中を清潔にする方法や歯磨きの仕方、生活習慣なども指導します。
- 04病的口臭
- 病気が原因で起こる口臭を「病的口臭」といいます。
病的口臭の90%以上は、歯周病、虫歯(または歯垢・歯石)などの口腔内疾患、舌苔(ぜったい:舌の表面に苔状の細菌が多量に付着していること)が引き起こしています。
残りの10%は呼吸器系、消化器系の疾患、糖尿病や肝臓疾患などですが、これらは稀なケースです。
口腔内疾患が口臭の原因となっている場合、歯科治療により口臭を軽減・改善することができます。
病的口臭の原因と治療法
口臭の成分は、口の中のタンパク質が分解されて発生する揮発性の硫化物です。
通常、唾液は不要になった口の中のタンパク質を洗い流してくれるのですが、次のような場合には、口の中で不要になったタンパク質の量が増え、口臭が発生します。
- 歯周病が口臭の原因である場合
- 歯周病につながる歯石や汚れが多くなると、歯ぐきが炎症を起こし、細菌だけでなく、タンパク質を多く含む血液や膿が放出され、口臭の原因になります。
歯周病が口臭の原因の場合、歯ぐきの歯石や汚れを徹底的に除去し、炎症をなくすことが主な治療となります。
また、体内にすでに存在する有益な善玉菌を増やし、歯周病の予防、糖尿病などの生活習慣病や体調不良の改善、体の免疫力強化をし、体質改善による口臭の改善・予防への関心も高まっています。
- ドライマウスが口臭の原因である場合
- ドライマウスとは、唾液の分泌量が少なく、口の中が乾いている状態のことです。
唾液には口の中をきれいにし、歯周病菌やむし歯菌を殺菌する働きがあるため、口の中が乾燥していると、口の中の汚れが流されず、歯周病菌が増えて口臭の原因となります。
- 口呼吸が口臭の原因である場合
- 通常、ほとんどの人は鼻で呼吸をしています。
これを鼻呼吸といいますが、口呼吸は主に口から呼吸をする方法です。
口呼吸では、空気が口の中に入ると、口の中が乾燥するため、唾液が減少し、口の中の歯周病菌やむし歯菌が増えることで口臭が発生します。
口呼吸は歯並びが悪く上下の前歯が噛み合わないために口が開いてしまう場合と、唇などの筋力が低下して口が開いてしまう場合があります。
噛み合わせが原因で口呼吸になっている場合は矯正治療が必要ですが、唇の筋肉が弱い場合は、口輪筋トレーナーなどで口の筋肉を鍛えることで口呼吸が改善される場合があります。
- 虫歯や治療済みの詰め物・被せ物が口臭の原因である場合
- 虫歯や治療した詰め物・被せ物が歯にうまくフィットしないと、隙間ができたり、歯ぐきや歯垢、被せるべきでない部分を覆ってしまったりすることがあるのです。
汚れが蓄積されると、タンパク質の量が増え、口臭が起こります。
また、歯根の治療が不十分だと、先端に膿ができたり、タンパク質を多く含む膿が歯茎から出たりして、口臭が発生することがあります。
この場合、口臭の治療としては、虫歯の治療、欠損した詰め物や被せ物の再装着、根の治療を行い、膿が出ないようにすることが主な治療となります。
- 舌の汚れ口臭の原因である場合
- 体調が悪いと、舌の表面に白いものが付着することがあります。
これは舌菌と呼ばれ、歯垢と同じようなものです。
これは、口臭の原因にもなります。
舌の汚れが口臭の原因であれば、舌をきれいにすることで口臭も軽減されます。
- 鼻、のど、消化器、全身の病気が口臭の原因である場合
- 鼻は口とつながっているため、咽頭炎、喉頭炎などの炎症があると、血液やタンパク質を含んだ膿が口の中に入り、口臭の原因となることがあります。
また、胃や消化器系の疾患も口臭の原因となることがあります。
その場合、内科的な治療が中心となりますが、体の免疫力を高めて歯周病を改善・予防する歯科治療も必要な場合があります。
口臭治療の流れ
初回来店時には、検査を含むカウンセリングをお願いしております。
- 01カウンセリング
- まず、現在の口臭の心配な部分、心配な状況についてお話を伺います。
デリケートな問題なので、話しにくいかもしれません。
ただし、正確な原因を知る必要がありますので、できる限り詳しく教えてください。
- 02検査
- 口臭の原因を探るために、舌の検査、レントゲン検査、虫歯検査、歯周病検査などを行い、患者さんの口臭を客観的に測定します。
- 03診断・治療
- 口臭の原因が虫歯や歯周病であれば、適切な歯科治療を施した上で、正しい歯磨きの仕方や生活習慣を指導します。
口臭が糖尿病や癌などの内科的疾患や、鼻や喉などの耳鼻科的疾患の場合は、検査結果に基づいて適切な医療機関をご紹介します。
- 04フォローアップ
- 初診時の検査結果と比較します。
これにより、口臭がどの程度改善されたかを客観的に判断することができます。
口臭の悩みは早く解決しましょう
口臭はもちろん、家族から指摘されたり、電車で近くの人が嫌な顔をしたり、友人からガムを勧められたり。
そんな経験から、口臭が気になりだす方も多いようです。
また、口臭は非常に微妙な問題で、口に出せない、言えないという方も多いのではないでしょうか。
つまり、口臭があっても教えてくれない人が多いのです。
口臭は自分ではわからないものだから、一度気にし始めると不安になってしまう。
周りの人の気持ちがとても気になるし、口を開けば笑顔も何も出てこない。
そんな悩みは早く解決しましょう。
ぜひ、当院にご相談ください。