歯周病は再発しやすい病気です
当院では、初期治療から歯周病の進行具合に応じた外科的治療まで行っています。
また、根本的原因を叩く徹底した治療により、歯周病を完治させることも可能です。
「歯茎から血が出る」「歯茎が痩せて根元が見える」「歯がぐらぐらする」などの症状がある方は、お気軽にご相談ください。
歯周病は万病の元と言われます
歯周病は「歯周病菌」と呼ばれる細菌群によって引き起こされます。
歯周病菌は単一の菌の名前ではなく、数百種類の「歯周病の原因菌」の総称です。
これらの細菌は、何らかの原因で血管から体内に侵入したり、口から気道を通って肺に炎症を起こしたりします。
近年では、様々な全身疾患との関係も明らかになってきています。
いくつか例を挙げてみましょう。
- 糖尿病
- 歯周病菌が作り出す物質が血管から全身に広がり、糖代謝を阻害してインスリンの効きを悪くし、糖尿病を発症・悪化させます。
- 気管支炎、肺炎
- 歯周病菌が気管支や肺の粘膜に炎症を起こします。
- 心臓病
- 歯周病菌が血管から心臓に入り込み、心臓弁や内膜に炎症を起こしたり、心臓に酸素や栄養を供給する血管に付着して動脈硬化を起こし、血管が狭くします。
- 脳卒中、狭心症、心筋梗塞
- 歯周病菌が血管に入り全身を巡り、血管の内壁に沈着すると、血管を狭めたり、血管自体を傷つけて動脈硬化を促進させたりします。
基本治療から手術まで
前述のように歯周病は、歯垢の中で繁殖する細菌による感染症で、最初は歯ぐきに軽い炎症が起こります。
炎症が歯周組織(歯肉、セメント質、歯根膜、歯槽骨)に広がると、歯肉が腫れ、歯周ポケットが深くなり、歯根膜や歯槽骨が破壊され、最悪の場合、歯周組織が歯を支えられなくなり、歯が抜けてしまうのです。
歯周病の検査
- 01 動揺度チェック
- 歯周病で歯槽骨が吸収されると、歯を支えている部分が少なくなり、歯がぐらつきはじめます。
動揺度は下記の分類がよく使われます。
0:生理的動揺(0.2mm以内)
1:わずかな動揺(0.2~1mm)
2:中程度に動揺(1~2mm程度)
3:歯軸に沿って振動(2mm以上)
- 02 プラーク付着検査
- 歯周病の直接の原因と言えるプラーク(歯垢)の量を確認します。
歯垢に色をつける染色剤と専用機器を用いて、歯垢の付着率を調べます。
歯垢の多い部分はブラッシングでは十分に洗浄できないため、歯磨き指導(TBI)を行うことで、効果的に歯垢を除去する方法や、かみ合わせや歯並びなどでプラークがたまりやすい要因などをチェックする。
- 03 プロービング検査
- 歯周病菌は酸素を嫌う嫌気性菌なので、歯周ポケットが深いほど増殖しやすく、歯周組織が破壊されるとポケットが深くなり、悪循環を繰り返しています。
そのため、歯周ポケットの検査は、歯周病の治療において非常に重要です。
プロービングテストでは、歯周ポケットの深さを測定します。
深さによって以下の3段階に分けられます。
1:(正常な歯ぐきまたは炎症がある歯ぐき/軽度の歯周病):0~3mm
2:(歯周病が中程度):3~6mm
3:(重度歯周病):7mm以上
- 04 レントゲン
- 歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨を溶かす「骨吸収」が進むため、検査の際にレントゲン撮影を行い、歯槽骨の状態を確認します。
破壊された骨の割合によって、骨吸収は以下の3段階に分けられます。
・正常な歯ぐき、または軽度に炎症を起こしている歯ぐき/軽度の歯周病:骨吸収が0〜5%
・中等度の歯周病:骨吸収が30%
・重度の歯周病:骨吸収が80%以上
患者さんの中には、レントゲン撮影での被曝を心配される方もいらっしゃいますが、実際には、歯科用レントゲンの場合、日本人が年間に受ける自然放射線量の数十分の1から百分の一程度の被曝量にとどまります。
また、歯やあごだけを撮影するため、妊娠中のお母さんやお腹の中の赤ちゃんにも影響がありません。
これまで説明した検査に加えて、歯周病の原因となる生活習慣や慢性疾患に関する以下のような習慣がないかどうかを確認することもあります。
・喫煙習慣の有無
・口呼吸や歯ぎしりなどの歯ぎしり障害
・糖尿病
歯周病の基本的な治療法
歯茎の炎症が確認された方、軽度・中等度の歯周病患者様には、歯周病の基本的な治療を続けていきます。
- TBI(歯磨き指導)
- 歯科医師によるブラッシング指導を行い、歯周病治療の基本ともいえる日々のプラークコントロールを行います。
歯ブラシ、デンタルフロスなどの補助器具は、主に検査時に歯垢の付着が多い部位や、歯間、歯と歯肉の接合部などの磨き残しの多い部位に使用し、正しい歯の磨き方をマスターしていただきます。
- SRP(スケーリング、ルートプレーニング)
- スケーリングは、スケーラーと呼ばれる歯科用器具を用いて、歯肉縁や歯周ポケットに溜まった歯石を除去することです。
歯周ポケットが深い場合やスケーリングで改善されない場合は、特殊な器具を使って、スケーリングで取りきれない深い歯石や感染した歯質を取り除く「ルートプレーニング」を行います。
- PMTC(プロによる歯のクリーニング)
- PMTCとは、「Professional Mechanical Teeth Cleaning」の略で、歯科医師や歯科衛生士などの専門家が行う歯のクリーニングのことです。
研磨剤を使用した専用の道具で歯の表面を磨くことで、通常の歯磨き粉では落としきれない歯垢や着色汚れをきれいに落とします。
フッ素の塗布は、虫歯を防ぐだけでなく、歯質を強化する効果もあります。
歯周病の外科的治療
中等度から重症の歯周病の場合、基本的な治療で歯周病が改善されない事が多いです。
その場合は、外科的な治療(手術)が必要になります。
手術では、まず局所麻酔を行い、メスで歯茎を切り開きます。
次に、歯の根や骨から歯ぐきをはがし、付着した汚れや歯石をスケーラーで完全に除去し、縫合します。
施術後約1週間で抜歯すると、歯周ポケットが小さくなっています。
また、ほかにも歯周組織の破壊や歯槽骨の吸収によって歯肉が後退した部分に、異所性の歯肉を移植する治療法などもあります。
歯周病を治し、正しい口腔ケアをして万病を予防しましょう
周病は、全身状態を悪化させ、健康寿命を縮めることになります。
しかし、適切な口腔ケアを続けていれば、少なくとも「細菌が原因の歯周病」は予防することができるのです。
その他、歯周病の原因として、喫煙、ストレス、歯ぎしりなどが挙げられます。
また口呼吸の人は、口の中が乾燥して感染しやすくなるので、注意が必要です。
これらの生活習慣や歯ぎしり、歯並びの乱れを正すことは、万病の予防にもつながります。
歯周病を完治させたら、毎日のケアと歯科での定期検診で歯を大切にしていきましょう。